次にリリスが訪れた時には、すでにその世界は崩壊し終焉を迎えていた。
それはソドムとゴモラを滅ぼした天の火を凌駕する破壊風景だった。
都市は容赦なく討ち滅ぼされ、死者すら姿を見せない。生者などもっての外。
そんな世界で、あらゆる死を、あらゆる破壊を、
天道刹那という少年は無感情のまま眺め続けていた。
「ねえ。生きてる?」
リリスが声を掛ける。少年は驚いたような表情で顔を上げる。
「さあ、この手を握りなさい。地獄より恐ろしく、
天国より心地よい世界。天と地の狭間にある東京バベルへ……招待するわ」
その時、彼は何を思ったのだろう? 感情表現に乏しいのか、表情からは伺えない。
――ただ、差し出した手を、しっかりと掴んだ。
これが天道刹那とリリスとの出会い。
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