世界の半分は光、もう半分は闇でできているという言葉がある。
あれは嘘だ。
世界はほぼ全て、闇で構成されている。
無論、光はある。瞬く灯りがあり、太陽があり、月があり、星がある。
だが、それは闇と比較すれば何といじらしい矮小さだろうか。
闇は圧倒的で、絶望的な量である。
宇宙は無限の闇が広がる空間である。煌めく星など、物の数ではない。
それ故に、そこに潜むは生物として必然の理。必然の策であろう。
そして、それ故に人間たちは闇を恐れる。
そこには何かが存在するから。何かが棲息して、何かが牙を剥きだして待っているから。
――例えば。その名はルキフグス。闇に溶け込み生きる者である。