綿飴のように甘く、チョコレートのようにとろける、そんな毎日が大好きです。
キャンディのようにべっとりとして、マシュマロのように柔らかいそんな毎日が大好きです。
ああ、考えてみれば。
脳味噌はマシュマロに似ているのかもしれません。
骨はビスケットに似ているのかもしれません。
肉はキャンディとチョコレートのように。髪の毛は綿飴なのかも――。
啜る、啜る、生命を啜り、情熱を啜り、青春を啜った。
そうして、彼女は生きる。生き延びている。正気など、とうに何処かへ消えてしまったにも関わらず、
知性だけが残っている。せめて、知性も消えていれば良かったものを。
彼女は知性あるけだものだった。論理を識る殺人鬼だった。
彼女は密かに死体を積み上げる。
一人、また一人。
これも違う、あれも違う。そんなクレームをブチ撒ける。
どうして自分と一緒になってくれないのか。自分と同じ価値観を持ってくれないのか。
自分の愛する人に、恋する人に、家族に、友達に、仲間に、同胞になってくれないのか。
なってくれるはずもない。
そもそも、そうする気が彼女にはない。
彼女が求めるのは、鏡に映った自分自身。
自分と同じ狂気を共有してくれる、度し難い破綻者だ。
そんな者が、この世にいるはずはない。
世界はいつだって、破綻した者に辛く当たるのだ。
そして――彼女の幸運も終わりを告げた。
絶対に出会ってはならないものに、出会ってしまったのだ。
それでは、ゲームスタート。