“彼”について語るべきことは少ない。
“彼”は敵である。

 

恐らくは天使であろう、と思われる。
もっとも最後のそれの根拠は薄弱だ。悪魔っぽくないから、というだけ。
悪魔であったとしても、驚いてはいけないだろう。

 

何かを策しているのだろう。
何かを内側に秘めているのだろう。
そして、彼が真の強者であることも――出会えば、分かる。

 

だが、分かるのは本当にただそれだけ。
名前は不明、目的は不明、力も不明、所在地も不明、何もかもが分からない。

 

協力者もいる。
敵対者もいる。

 

もっとも、肝心なことはそれではない。
天道刹那にとって――敵対すべき存在なのかどうか。
それこそが、肝要だろう。

 

では、この天使(?)に問い掛けるために。
彼の名を呼ぼう。呼びかけよう。
簡単だろう? この天使(?)の名を、呼ぶだけで済むのだ。

 

――無言で見送るならば、仕方ない。

 

相対したときに、もう一度名を問うか。
あるいは――世界全ての知識が記されたあの本に、縋ってみればいい。
そうすれば、きっと彼の名が分かるだろうから。