望んで孤高になった訳ではない。
ただ、結果的に孤独になってしまっただけだ。

 

彼女が生きるためには、一人で生きなければならない。
彼が戦うには、一人でなければならなかった。

 

何、いつも通り。いつも通りだ。
天使からは裏切り者と罵られ、堕天使からは変節者と弾劾された。
それがどうした。
私は私の道を行く。その先に何があろうが、迷いはない。
そして、道を共に歩く者が存在しなくたって構わない。

 

孤高であろう。
孤独であろう。
我は一人の王、一人の民、一人の兵として、この世界に存在する。

 

……けれど、これは望んでいた訳ではない。
愛した者がいた。
愛した者を守るために、愛した者が幸福であるようにと願って、巡礼に向かったのだ。
寂しいときには、歌を唄う。
愛した者のために、つたない歌を、ただ唄う。

 

刳狼都は、そうして支配者たる孤独を紛らわせている。